書類選考を突破!履歴書・職務経歴書の正しい書き方【例文付】

よくある質問

転職サイトを開いたそのとき、ケイタくんのスイッチが入った

「そろそろ転職しようかな…」

明確な理由があるわけじゃない。ただ、ここ最近のケイタくんは、ふとした瞬間に自分の働き方や将来を考えることが増えてきた。36歳。仕事にも慣れ、毎日はそこそこ安定しているけれど、心の奥にずっと引っかかっていた。

「このまま同じ会社で、同じような仕事を、ずっと続けていくのか…?」

ある日の昼休み。食後のコーヒーを片手に、スマホをなんとなく開く。インスタを流し見したあと、気づけば親指がタップしていたのは転職アプリのアイコンだった。

「営業経験者歓迎」「年収アップを目指す30代に」「完全在宅あり」

画面に並ぶ言葉に、心がざわつく。最初は軽い気持ちだったのに、気づけばいくつかの求人をお気に入りに追加している自分がいた。

「……えっ、俺、本気で転職考えてる…?」

自分でも驚いた。その夜、帰宅後にもう一度アプリを開き、改めて求人を見直す。ワクワクと不安が入り混じるような感覚のなか、ふと思った。

「応募って、どうやってするんだっけ?……あ、履歴書とか、職務経歴書とか、必要だよな」

そうだ。今の会社に入ったのは8年前。そのときに使った履歴書も職務経歴書も、もうどこにあるのか思い出せない。

ケイタくんは思った。

「せっかく転職に一歩踏み出すなら、まずはちゃんと“自分を伝える書類”を整えよう。」

そんな彼の第一歩は、まさにこのページから始まる。

第2章:履歴書と職務経歴書ってどう違うの?

「えーっと……履歴書と、職務経歴書……って、何が違うんだっけ?」

ケイタくんはスマホで求人情報をスクロールしながら、ふと立ち止まりました。
どの求人にも「履歴書・職務経歴書を添付してください」と書いてある。でも、そういえばふたつの違いをちゃんと意識して書いたことって……なかったかもしれない。

履歴書と職務経歴書は、どちらも採用に必要な書類だけど、それぞれ役割が違います。

履歴書は、いわば“プロフィール”。氏名や住所、連絡先、学歴、職歴などの基本情報を、あらかじめ決まったフォーマットにそって記載するものです。人柄や志望動機も簡潔に書く欄があるけれど、基本的には「事実」を整理して伝える書類。

一方、職務経歴書は“自分の働きぶりを語るストーリー”。これまでの職務内容、成果、得意なことや工夫した点などを自由な形式でアピールできる書類です。企業側が「この人は現場でどんな動きをしてきたのか」「どんな価値を提供してくれそうか」を見極めるために、職務経歴書をじっくり読むことが多いのです。

ケイタくんは、以前ハローワークでもらった履歴書テンプレートを思い出しました。
「あれは形式が決まってたなあ。でも職務経歴書って、自分で考えて作るやつだよな……」

そこで彼は、履歴書は“名刺”、職務経歴書は“プレゼン資料”とイメージすることにしました。

履歴書が採用担当者の手元に届いたとき、「この人の経歴をざっと確認しておこう」と見られるものだとすれば、職務経歴書は「じゃあ、具体的に何ができるの?」と興味を持ってもらうための、もう一段深い資料。

「なるほど、役割が違うなら、書き方も工夫しなきゃいけないよな…」

ケイタくんは、まず履歴書で「誠実さ」や「丁寧さ」を伝え、職務経歴書で「強み」や「実績」をしっかりアピールする作戦を立てはじめました。

こうして彼は、ただの“応募書類”としてではなく、“自分の未来を切り開くツール”として書類を捉えなおしたのです。

第3章:履歴書ってどう書けばいい?構成と記入ポイント

「履歴書って、何を書けばよかったっけ…?」

ケイタくんは8年前の記憶をたどりながら、パソコンの前で手が止まってしまいました。名前や住所はいいとして、学歴や職歴はどこから書き始めるのが正しいんだろう? 志望動機って、どうやってまとめたらいい? 写真はスーツで撮らなきゃだめ?

履歴書には基本的に、次のような構成があります:

  • ① 日付:提出日を記載。未来日や未記入はNG。
  • ② 氏名・住所・連絡先:楷書で丁寧に。ふりがな欄の「ふりがな」「フリガナ」にも要注意。
  • ③ 学歴・職歴:「学歴」「職歴」は別行で見出しをつけ、時系列で記載。正式名称で書く。
  • ④ 志望動機:「なぜこの会社か」「自分の経験がどう活きるか」を明確に。
  • ⑤ 本人希望欄:特に希望がなければ「貴社規定に従います」でOK。

厚生労働省履歴書様式

▶ 履歴書のPDFを開く(別タブ)

履歴書はあくまで“事実”を伝える書類。飾りすぎず、端的に、自分の経歴を整理するイメージで書いていくと良いでしょう。

また、意外と重要なのが証明写真。スマホでも撮れる時代とはいえ、ビジネスマナーとしては証明写真機やスタジオで撮影したもののほうが安心です。表情は柔らかく、服装はスーツを選ぶのが無難。

さらに、記載ミスや誤字脱字は信頼性を損ないます。「誠実に仕上げられているか」は、たとえ短い書類でも伝わるもの。形式通りでも、丁寧に書かれているだけで、面接官の印象はぐっと変わります。

ケイタくんも、最初は「テンプレに沿って書けばいいでしょ」と思っていました。でも実際に取りかかってみると、「あれ、この空欄…自分らしさをどう書こう?」と迷う場面が意外と多い。

だからこそ、履歴書は“ただの書類”ではなく、“自分という人間の第一印象”なのだと実感します。

「履歴書一枚で、伝わることって結構あるんだな。」

ケイタくんの表情に、少しだけ決意の色がにじみ始めました。

第4章:職務経歴書の書き方とアピールのコツ

履歴書を一通り書き終えたケイタくん。次に手を付けるのは、いよいよ職務経歴書です。
「正直、何を書いたらいいのか分からない…」「ただの仕事内容じゃ、面接官の印象に残らないかも…」と不安になるのも無理はありません。

職務経歴書は“あなたという人材”を表すポートフォリオのようなもの。採用担当者の目を引くためには、単なる事実の羅列ではなく、“伝わる”構成と工夫が求められます。

まず押さえておきたいのが、全体構成の流れ。以下のような順番で記載すると、読む側にも理解しやすくなります。

  1. ①サマリー(要約): 自分のキャリアや強みを一文で表現する
  2. ②職務経歴: 所属部署や業務内容、担当したプロジェクトなど
  3. ③実績・成果: 数値・具体例を交えて「成果」をアピール
  4. ④スキル: 業務に関連するスキルや使用ツールの記載
  5. ⑤自己PR: 志望先との相性を意識しながら強みを述べる

この構成を意識することで、単なる時系列の経歴書から、“戦力としての自分”を描く資料へと昇華できます。

たとえば、次のような書き方の違いを見てみましょう。

  • NG例: 「営業部に所属。法人営業を担当。」
  • OK例: 「営業部にて法人顧客を中心に担当。新規開拓を行い、2年連続で前年比120%以上の売上を達成。既存顧客との関係構築にも注力し、リピート率80%を維持。」

このように、「数字」や「具体的な行動・結果」を入れることで説得力がぐっと高まります。

また、自己PR欄では、応募先の企業が求めている人物像と自分の経験・強みがどうつながるかを意識することが大切です。

たとえば「調整力」が強みであれば、「部門間の調整役として全体スケジュールを管理し、納期遵守率を95%に改善」といったエピソードを加えましょう。

職務経歴書は、まさに“ストーリーで魅せる資料”。あなた自身の歩みを、自信を持って表現してください。

第5章:よくあるNG例と改善ポイント

履歴書や職務経歴書をいざ書いてみると、「これってアリなのかな?」「ちょっと自信ないな…」と不安になることもありますよね。
ここでは、転職希望者がつまずきやすい“よくあるNG例”を取り上げながら、その改善ポイントをご紹介します。

❌ NG例①:「スキルアップしたいです」という抽象的な志望動機

「御社でスキルアップしたいです」といった表現はよく見かけますが、実は採用担当にとっては印象が薄くなりがちです。

▶ 改善ポイント: どんなスキルを伸ばしたいのか、それが志望企業とどう関係するのかまで書くと具体性が増します。

【OK例】:「中小企業向けの経理業務に強みを持つ御社で、会計ソフト導入支援の経験をさらに深め、業務効率化に貢献したいと考えています。」

❌ NG例②:自己PRが「責任感があります」だけ

責任感や真面目さは大切ですが、それだけでは他の応募者との差別化になりません。

▶ 改善ポイント: 実際に責任感を発揮したエピソードを添えましょう。

【OK例】:「担当顧客が急遽キャンセルになった際も、即時に代替提案を用意し契約維持につなげた経験があります。」

❌ NG例③:長すぎる文章、改行なしの文章

職務経歴書でよくあるのが「一文がやたら長い」「改行がなく読みにくい」状態。採用担当者は1日に何十通も書類を見ます。

▶ 改善ポイント: 1文を短く区切る。箇条書きや段落を使い、読みやすさを意識する。

❌ NG例④:テンプレートの丸写し

ネット上の例文をそのまま使うと、“どこかで見たような文章”になりがち。印象にも残りません。

▶ 改善ポイント: 自分の経験や応募先の業種に合わせて、必ずアレンジを加えましょう。

まとめ:ミスは誰でもする。だからこそ、“丁寧な見直し”が強みになる

書類作成に慣れていないうちは、どうしてもNGポイントに引っかかりがち。でも、大切なのは「書いたあとに振り返ること」。
文章を声に出して読んでみる、他人に見せてみると、改善のヒントが見つかることも多いです。

次章では、実際に使える「テンプレートリンク」や「見本PDF」もご紹介しますので、ぜひ活用してくださいね。

第6章:まとめ 〜書類から始まる、あなたの転職ストーリー〜

ここまで、履歴書・職務経歴書の違いから書き方のコツ、よくあるNG例まで、ケイタくんの転職準備とともに見てきました。

最初は「転職なんてまだ先」と思っていたケイタくんも、スマホで求人情報を見たことをきっかけに、少しずつ自分のキャリアを見つめ直し始めました。

履歴書は“あなたのプロフィール”、そして職務経歴書は“あなたの物語”。この2つを丁寧に整えることで、企業に伝わる第一印象が大きく変わってきます。

特に職務経歴書では、ただ業務内容を並べるのではなく、「どんな成果を出したか」「どんな工夫をしてきたか」という視点を持つことが大切です。小さな工夫でも構いません。それは、あなただけの実績であり、企業が求める“強み”となるのです。

もちろん、完璧な書類を最初から書ける人なんていません。でも、時間をかけて“自分を言葉にする”ことそのものが、転職における大きな一歩になります。

「何を書けばいいかわからない」と立ち止まったときは、まず自分の過去を思い出してみてください。
嬉しかったこと、乗り越えたこと、誰かに感謝された経験。それこそが、面接官に伝えるべき“あなたらしさ”です。

そしてなによりも大切なのは、書類がゴールではなく、スタートラインであるということ。

書類を通じてあなたを知った企業が、「この人と話してみたい」と思ってくれる。それが、次のステップ=面接へとつながっていきます。

ケイタくんも、最初は不安だらけでしたが、ひとつひとつ準備を重ねていくことで、少しずつ“転職モード”にスイッチが入りました。

次回は「面接対策編」として、第一印象の作り方や、よくある質問への答え方などをご紹介していきます。
ぜひ、書類が仕上がったら次のステップへ一緒に進んでいきましょう!

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