1. 経理は未経験でも目指せる職種?
「経理って、経験者しかなれないんじゃないの?」
そんなふうに思っていたケイタくんも、30代半ばで転職活動を始めると、その考えが少しずつ変わっていきました。
実は、経理職には“未経験OK”の求人も存在します。
特に、ベンチャー企業や中小企業では、人手不足から「実務は入社後に覚えてもらえればOK」というスタンスを取っているケースも多く見られます。

未経験でも選ばれる理由とは?
「未経験OK」とはいえ、誰でも良いというわけではありません。
企業が未経験者に求めるのは、たとえば次のような素質です。
- 数字やお金に対する基本的な関心
- 地道で正確な作業を丁寧に続けられる
- 社内の人と気持ちよくコミュニケーションが取れる
これらは、社会人経験がある30代・40代だからこそ持っている“強み”でもあります。
アシスタントポジションが狙い目
とはいえ、いきなり決算や税務を任されることは稀です。
まずは「経理アシスタント」や「庶務を兼ねた事務職」から始めるのが王道です。
書類整理や経費精算などからスタートし、徐々に売上管理や会計ソフト入力などの業務を覚えていくことで、キャリアの土台が作れます。
焦らず一歩ずつ積み上げることが、経理職への近道。
ケイタくんも、こうして経理の世界に足を踏み入れました。
2. 未経験から経理職に就くための3ステップ
「何から始めればいいのかわからない…」
そんなケイタくんのように、初めて経理を目指す方の多くが感じる不安。
でも、大丈夫。ちゃんと順序を踏めば、誰でも経理への一歩を踏み出せます。
ここでは、未経験から経理職を目指すために大切な3つのステップをご紹介します。
① 基礎知識を学ぶ(独学 or 講座)
まずは経理の基本を知ることから。
仕訳、貸借対照表、損益計算書など、最低限の会計知識を身につけましょう。
独学でもいいですが、通信講座やYouTubeなどを使えば、より効率的に学べます。
「簿記3級」は、未経験者にとって絶好のスタートラインです。
② 資格取得で意欲をアピール
「未経験OK」とはいえ、何も準備していないと採用は難しくなります。
そこでおすすめなのが、日商簿記2級の取得です。
この資格があるだけで、「経理の基礎が理解できている」と評価されやすくなります。
特に中小企業では、簿記2級が“登竜門”として見られることもあります。
③ アシスタント職からの転職を狙う
最初から「経理担当者」ではなく、「サポート役」から始める方が現実的です。
「経費精算」や「請求書の発行」「領収書チェック」など、地道だけど大切な仕事をこなすことで、自然と経理の現場に慣れていきます。
いわば“下積み”ですが、これがのちのキャリアアップに確実につながります。
焦らなくても大丈夫。
ケイタくんも一歩ずつ、経験を積んで成長していきました。
3. 経理職で活かせる“社会人スキル”とは?
「経理って、数字に強くないと無理でしょ?」
そんなイメージを持っていませんか?
たしかに会計知識は必要ですが、それ以上に“社会人としての基本スキル”が役立つ仕事でもあります。
経理は、会社の数字を正確に管理する重要なポジション。
しかし、その役割は意外にも「事務力」や「報連相」などのスキルにも支えられています。
① 正確さ・丁寧さ
経理においてミスは命取り。
たとえば数字の打ち間違いや書類の添付漏れは、会社に大きな迷惑をかけてしまいます。
だからこそ「チェックを怠らない」「丁寧に書類を扱う」といったスキルが大切です。
これはどんな職種にも共通する能力であり、経験者でなくても十分に発揮できます。

② コミュニケーション力
「黙々と仕事をする」という印象があるかもしれませんが、経理は人と接する場面も多いんです。
例えば、他部署への確認や上司への報告、社外とのやりとりなど、意外と対話の機会があるのです。
そのため、日ごろの「報告・連絡・相談(報連相)」や、相手の話をしっかり聞く姿勢が強みになります。
③ PCスキル(Excelなど)
会計ソフトを使う機会もありますが、多くの経理業務はExcelやGoogleスプレッドシートで完結することも。
特に「SUM関数」「IF関数」「VLOOKUP」などの基本操作ができると重宝されます。
「特別な技術」ではなく、「誰でも磨けるスキル」。
今の職場でPC作業に慣れているなら、それだけでも経理に活かせる武器になるんです。
4. 応募書類のポイント|未経験でも伝わる自己PRとは?
未経験で経理職を目指すとき、いちばん悩むのが履歴書と職務経歴書。
「アピールできる経験がない」と感じるかもしれませんが、見せ方次第で印象は大きく変わります。
採用担当者が見ているのは、「この人はどんな姿勢で働いてきたか」。
経理経験の有無だけではありません。
むしろ「この人と一緒に働きたい」と思わせられる人柄や取り組み方が評価されるのです。
① 他職種で培った“共通スキル”をPR
経理に直接関係しなくても、「正確性」「納期管理」「事務処理能力」などは立派な強み。
例えば事務、販売、製造業など、どんな職種でも活かせる経験があるはずです。
そのスキルが、経理でもどのように役立つかを明確にしましょう。
具体的なエピソードがあると、より説得力が増します。
② 数字や成果を添えて具体化
「○○をがんばりました」だけでは弱い印象に。
「処理スピードを20%向上させた」
「3年間ミスゼロで帳票管理を行った」など、数値化できる実績があると強く伝わります。
日々の仕事で「当たり前」だと思っていることが、実は企業にとっては魅力になるのです。
③ 経理志望の動機は“具体的”に
最後に大切なのが、志望動機の説得力。
「数字を扱うのが好き」だけでは弱く、なぜ経理なのか、なぜこの企業なのかをはっきりさせましょう。
「将来的には○○の業務にも挑戦したい」など、未来志向の熱意もプラスできれば、印象が一気に変わります。
5. 経理の面接でよく聞かれる質問と対策
未経験で経理職に挑戦する場合、面接では志望動機や適性についての質問が中心となります。
準備をしっかりすれば、経験がなくても好印象を与えることができます。
ここでは、よく聞かれる質問とその答え方のコツをお伝えします。

① なぜ経理職を目指すのですか?
これは必ず聞かれる質問です。
「安定しているから」だけでは説得力が弱いため、自分の経験や性格と結びつけて説明しましょう。
たとえば「数字やデータを扱うのが得意で、正確に物事を進めることにやりがいを感じる」といった具体的なエピソードを添えると好印象です。
② 簿記などの勉強はしていますか?
たとえ未取得でも、「現在、日商簿記2級の勉強中です」と伝えましょう。
意欲を見せることが大切です。
資格の名前を出すことで、知識面での不安も軽減できます。
③ チームで働くうえで大切にしていることは?
経理は一人で黙々と作業するイメージですが、
実際には他部署との連携が必要な仕事です。
「報告・連絡・相談を意識し、相手の立場を考えて行動しています」といったチームプレーへの理解が伝わる内容が望ましいです。
面接では「経験の差」よりも「人柄」と「姿勢」が見られています。
少し緊張しても、正直に、前向きに話すことを大切にしてください。
📝まとめ
未経験から経理職を目指すには、基本の理解と地道な準備が欠かせません。
「資格取得」「実務の理解」「面接対策」など、ひとつひとつ積み重ねることで、自信とチャンスは確実に広がります。
特に30代・40代からの転職では、これまでの社会人経験をどう活かすかが大きな鍵になります。
焦らず、着実に、自分らしいキャリアへの一歩を踏み出しましょう。